黄金の扉を開ける賢者の海外投資術(著:橘玲)

「黄金の扉を開ける賢者の海外投資術」(著:橘玲)を読みました。

橘玲、といっても、眼鏡をかけた高校生ではありません。読み方も、「たちばなあきら」と読み、「たちばなれい」では無いです。

この著者の本は過去にいくつか読んできたので、どういったことを言いたいのかは理解しているつもりです。

最初は「美味しんぼ」に出てくるキャラクターを少し変更して、人的資本に関してを紹介しています。

人は、普通に働いていけば、生涯で一定の額が稼げます。この額をあらかじめ考慮し、投資をしていこうというわけです。投資には、資産の分配が重要とよく言われますが、すでに人的資本として一定額があるのであるから、それを考慮し、分配をするには、どうすれば良いかの例が記されています。

具体的には、レバレッジをかけても、どれくらいの損失であれば人的資本を考慮すれば問題ないのか、とか、そもそも人的資本は日本人であれば日本で貰えるお金のこととなるため、海外に投資をしようとか、そういった感じです。

この他に、エマージング市場への投資、為替に関して、ヘッジファンドに関して、タックスヘイヴンに関してなども記載されています。

また、最近の高齢者を中心にした海外移住の話も載っており、人生を考える上での選択の幅を広げるのに役立ちます。

個人的に興味を示したものとしては「期待資産額」についてです。

次の式で計算し、現在の資産が、この数字を上回っているようであれば、貯蓄優等生であり、下回っていれば貯蓄劣等生となるそうです。

期待資産額=年齢×年収/10

たとえば、25歳で年収が400万円だとすると、期待資産額は1000万円になります。

ただ、年齢が若いと、実際に働き始めてからあまり年数が経っていないため、この数字があまり適切に働かないかと思いますが、年齢が上がるにつれて、この計算式の重要性が増してくるかと思います。

30歳で年収600万円だとすると、期待資産額は1800万円。

40歳で年収1000万円だと、期待資産額は4000万円になります。

この式は海外で誕生した数字のため、もしかしたら日本の税制などを考慮すると適切ではないのかもしれませんが、一つの参考にはなるのではないでしょうか。

ぜひ一度、自身の年収を把握して、計算してみましょう。

本全体についてですが、今回に関しては、より内容が高度になっており、初心者からすると一部理解するのが困難なところもあるかと思います。その際は、著者の過去に発売した「臆病者のための株入門」などを読んでから、こちらの本に移るとよいかと思います。

金融関連の内容としては他の本と視点を変えて書いている部分もあるので、こういった生き方もあるんだと認識する意味でも、良い本と言えるのではないでしょうか。