大市民2 全2巻(著:柳沢きみお)

「大市民2 全2巻」(著:柳沢きみお)を読みました。

前回紹介した『大市民 全10巻(著:柳沢きみお)』の続編になります。

大市民の最後で原宿に引っ越すことになり、今回は原宿編ということで話がスタートします。

単行本発売時期は1997年11月と2001年4月。

このあまりにも開いた年月には意味があります。

なんと、2巻目は雑誌掲載でなく、すべて描き下ろしで発売されるという、ちょっと珍しい形での発売になっているからです。

それもあってか、2巻はあまり刷られていないのか、今ではプレミアム価格で売られるという始末。

原宿編になってから、主人公の山形鐘一郎以外は新キャラクターばかりに。ただ、一人だけ、佐竹さんというのが引き続き登場します。

この佐竹さんは90年代のバブルで金を儲けたものの、バブル崩壊で会社が倒産、一文無しの状態でいた人物。前作でも主人公に食事をタカっている姿が印象的な、ダメ人間でした。

今回も登場し、そのダメっぷりを発揮。

登場時にはホームレス姿で現れ、さっそく主人公の家の家に入り込み、食事を催促。シリーズでの出演回数の多いキャラクターなだけに、愛着はあるものの、現実にいたら鬱陶しいだろうな、と。

そうこうしているうちに2巻に突入。全編描き下ろしで、年代も数年分まとめてのため、時期は飛び飛びになっていますが、2000年前後が描かれていて当時の状況を窺い知ることができます。

最初から「もう大市民は卒業しようと」「大市民の最終巻」という話から始まります。たぶん、連載先が見当たらないから、という事情もあったことが窺えます。

ですが、最後にはやっぱり大市民を続けていこうという意思が書かれ、結果として後の「THE大市民」につながっていきます。

キャラクター性が乏しくなり、ほとんどが著者の考えを述べるだけになっているこの本ですが、当時を知り、そしてその時代のどの点に問題があったかなどを知るに適した本です。

機会があれば、ぜひ一読してみてください。

もっとも、2巻に関しては本当に手に入れにくい状況ですが。